
河原 琴子:資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 省エネルギー課。データセンターの省エネ推進に関する法令業務に携わる。
【資源エネルギー庁 省エネルギー課】に聞く、データセンターの省エネの取り組みとは。経済産業省という複雑な組織を「解体」して、個々の部署が実施している政策について、現場の中堅・若手職員が説明する「METI解体新書」。今回は、資源エネルギー庁 省エネルギー課で、法令業務を通じてデータセンターの省エネ推進に取り組む、河原 琴子さんに話を聞きました。
DX推進に欠かせない「データセンター」とは
――― ご所属の資源エネルギー庁 省エネルギー課はどのような部署ですか。
省エネルギー課は、資源やエネルギーの効率的な利用を促進する部署です。具体的には、省エネ・非化石転換法という、第一次オイルショックの際に制定された法律を所管していて、この法律に基づいて、事業者や国民の皆さんに、省エネや非化石転換(使用するエネルギーを、化石エネルギーよりも供給制約の低い非化石エネルギーに転換すること)へのご協力をお願いしています。
――― 河原さんはどのような業務をされていますか。
法令担当として、法令の改正などを行っています。直近では、今年の4月1日にデータセンターの省エネに関する法令改正の施行を担当しました。
――― 最近よく耳にする「データセンター」ですが、どのような施設なのですか?
一言でいうと、「大量のデータを処理するための情報処理設備を安全に管理・運営している施設」で、企業の経済活動や日々の暮らしを支える重要なデジタルインフラです。身近なところでは、皆さんが普段スマートフォンやパソコンで、オンライン動画やSNSを閲覧したり、近年話題のAIを利用したりする際には、大量の情報処理が行われていますが、この情報処理は、データセンター内で行われています。
――― なぜデータセンターの省エネが必要なのですか?
データセンターは、DX(デジタルトランスフォーメーション:企業がデータやデジタル技術を活用し、新たな価値を創出すること)の推進に必要不可欠であるため、日本国内にデータセンターを増やしていきたいと考えていますが、一方で、データセンターの増加に伴い電力の消費量も増加する可能性が高いとも考えられているため、立地の促進と平行してデータセンターの省エネに取り組むことが重要です。

データセンターの省エネが必要な理由を解説する、河原さん
法令改正を通じて、データセンターの省エネを推進
――― データセンターの省エネを進めるためにどのような取り組みをしているのですか。
冒頭でもご紹介しましたが、今年の4月1日に、データセンターに関する法令改正を実施しました。法令上、データセンターに関する内容は以前から定められていましたが、今後データセンターの更なる電力需要増加が見込まれるため、措置の追加を実施しました。
――― どのような措置が追加されたのですか。
大きく3つあります。
1つ目は、データセンターに関する詳細な報告及び事業者によるその一部の公表です。
これまでも、エネルギー使用量が一定規模以上の事業者(以下「特定事業者」)に対し、エネルギーの使用量や原単位などの報告を求めてきましたが、今回の追加措置のひとつとして、報告を求める内容にデータセンターに関する詳細な項目を追加しました。さらに、提出対象となったデータセンターに関する情報の一部は、各事業者のホームページなどを通じて公表いただくことを求めています。目標や実績が見えることで、先進的な取り組みがデータセンター業界内や社会で評価されるきっかけをつくることが狙いです。また、多くの電力を使用するデータセンターの立地を安定的に進めるには、地域社会との共生が不可欠であるため、データセンターの周辺地域に向けた情報発信の充実にもつながります。
2つ目は、新たに設置されるデータセンターが満たすべき効率基準を設定しました。
追加措置前より、データセンター業を実施している特定事業者に対して、2030年度を目標として満たすべき事業者平均のエネルギー効率基準を設定していましたが、今回の追加措置では、2029年度以降に新設するデータセンター単位で、満たすべきエネルギー効率基準を設定しました。将来のデータセンターが満たすべきエネルギー効率基準を現時点で明確に設定することで、それを踏まえた計画的な建設や省エネ技術の開発を促進することが目的です。
3つ目として、報告を求めるデータセンター業の範囲を拡大しました。
データセンター業とひとことで言っても、さまざまな事業形態があります。追加措置前では報告対象外となっていた事業形態についても、報告の必要性を再度見直し、今回の追加措置にて、報告の対象として追加しました。
(※改正内容の詳細はページ下部の「関連情報」よりご覧ください。)
――― 河原さんは、法令の条文を改正する業務を担当されていたんですね。
はい。あとは、制度周知にも力を入れています。最近は外資系企業の国内参入も増えているなか、そもそもデータセンター業に関する法令が存在することを認知していない事業者もいるため、日本での新築計画がある事業者には個別でアポイントを取って、制度説明を実施しています。
コミュニケーションツールにもなる省エネ。みんなで身近なところから
――― 読者の方に知っていただきたいことはありますか。
省エネルギー課では、データセンターに限らず、事業者や国民の皆さんに省エネ活動をお願いしています。
省エネというと、効率のよい最新設備を導入しなければならずお金がかかるという印象をお持ちの事業者の方も多いと思いますが、必ずしも設備導入だけが省エネではなく、身近なところから取り組んでいただくのが重要だと考えています。
例えば、ある中小企業では、工場の各所に温度計を設置して、こういう場合は冷暖房設備の設定温度を何度にしようというルールを細かく設定し、社長から従業員まで全員で徹底して運用しています。こうした身近な取り組みを積み重ね、年間での電力使用料金の大幅削減に成功されたとのことでした。また、省エネの取り組みには、必ずしも専門知識は必要ありません。電気をこれくらい消してみよう、温度をどう設定しようなど、新入社員が積極的にアイディアを出し、ベテラン従業員、社長も含めて議論するなど、省エネの取り組みがコミュニケーションツールとなっているというお話も聞きます。
また、事業者向け、ご家庭向けそれぞれに、夏季/冬季の省エネ対策のご案内(夏季/冬季の省エネリーフレット)を公表していますので、こちらをぜひご確認いただき、身近なところから取り組んでいただきたいと思います。

「事業者や国民のみなさんには、お金をかけずにできる省エネ対策もあるということをぜひ知ってほしい」
政策の意義を自問し、現場に届ける
――― 日々の業務の中で課題だと感じることは?
経産省では、1~2年で異動となることが多いので、配属されてすぐは勉強が大変です。
また、デスクワークに追われ、なんのためにこの政策をやっているのか、現場にちゃんと届いているのか、なかなか見えてこない面もあります。現場をしっかり見て、多様な論点に目を向けるように意識しています。
――― 仕事の魅力は。
若手職員でもスケールの大きい事業に携われるというのは、国家公務員という仕事の魅力かなと感じています。その中で、経産省の担当分野は官公庁の中でも特に幅広く、エネルギー施策や通商施策、製造業やサービス業など、日常で目にするもののほとんどは何かしら経産省の仕事に関わっているといえるのではないかと思うほどです。幅広い業務に携われるため、常に新しい発見があることも魅力かなと思います。
――― これまで経験した業務で、特に印象に残っているものはありますか。
前部署で製造業の担当していた時の経験です。ある素材について、国内では1社のみが製造していたのですが、価格転嫁の難しさや海外製品との競合の関係で、製造を続けるのが難しくなり、生産撤退することになりました。この素材は、自動車部品などにも使われる重要な素材の1つだったので、なんとか確保する必要がありましたが、海外品は形態が違ったり、大ロットでしか売っていないため日本国内のニーズにマッチしなかったりと問題があり、供給途絶の危機に直面しました。メーカーやサプライチェーン川下のユーザー、海外品の輸入を担う商社と毎日のように対話を重ねて、半年以上調整を行った結果、海外品でも供給が可能な形が整い、サプライチェーン途絶の危機を回避することができました。事業者の皆さんからも感謝の言葉をいただき、とてもやりがいを感じた印象深い仕事です。
――― 忙しい毎日だと思いますが、どのようにリフレッシュしていますか。
3年ほど前から社会人女子限定のダンススクールに通っています。体を動かしてリフレッシュするのはもちろんですが、大人になってからは職場以外で友達が増えることもなかなかないので、貴重な場です。経産省とつながりのある仕事をされている方や、逆に看護師さんや学校の先生など、普段は関わりがない方など、様々な職業の方がいて楽しいです。
もう一つは、セルフネイルが趣味です。イベントに合わせたデザインや推しの概念など、パーツから自作してセルフネイルをしています。キーボードを叩いている時間が長いので、かわいい爪が視界に入るとテンションがあがります。(笑)

取材した広報室員もびっくりのクオリティだった、お手製のポケモンネイル
■関連情報
省エネ・非化石転換法に基づくデータセンター業に係る措置について
エネこれ記事「増加が見込まれるデータセンターの電力需要をどうする?さらなる省エネを進める新たな制度に注目!」
The post データセンターの省エネはなぜ必要? 経産省担当者が省エネ政策を解説! first appeared on 経済産業省 METI Journal ONLINE.

経済産業省(METI Journal ONLINE)