寺島しのぶさんが影響を受けた「自分の中に毒を持て」「赤目四十八瀧心中未遂」

HOTパーソンでご紹介した俳優の寺島しのぶさんに、影響を受けた本について聞きました。 

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NHKのドラマ『TAROの塔』(2011年)で芸術家・岡本太郎さんの母で、作家・歌人の岡本かの子さんを演じました。それがきっかけで岡本太郎さんに興味を持ち、いろんな本を読みました。中でも『自分の中に毒を持て』は、今もベッドの脇に常に置いていて、何度も読み返しています。岡本太郎さんのエッセーというか人生訓のようなものが話し言葉でつづられています。なぜか心に刺さり、いつもどこかで助けてくれる。そんな一冊です。

『自分の中に毒を持て』(岡本太郎著、青春出版社)

岡本太郎さんですから、たぶんまともなことは言っていないと思うのですが、言葉に余白が多くて考えさせられます。「“モノマネ”人間には何も見えない」とか、「好かれるヤツほどダメになる」とか。「出る釘は打たれる」という言葉については、「この現代社会、システムに押さえこまれてしまった状況の中で、生きる人間の誇りをとりもどすには、打ちくだかれることを恐れず、ひたすら自分を純粋につき出すほかない」とも。その時々の自分のコンディションの違いで、同じ文章を読んでも違って感じられる。不思議な本だと思います。

荒戸源次郎監督の映画『赤目四十八瀧心中未遂』(2003年)では、尼崎で与一と知り合い、三重県名張市の赤目四十八瀧へ逃避行する綾を演じ、おかげさまで評価していただきました。原作は車谷長吉さんの直木賞受賞作で、実は映画出演が決まる前から、この本には思い入れがありました。初めて読んだときに大きな衝撃を受けたのです。表紙がすごくきれいだな、と思って読み始めたのですが、読んでいるうちに、この綾という女は私自身だ、と強く思いました。

『赤目四十八瀧心中未遂』(車谷長吉著、文藝春秋)

もちろん生まれた境遇も育った環境も全く違うのですが、外に出たいけど出られない。その思いは全く同じで、シンパシーを感じたのです。車谷さんの文体にも引き込まれたのだと思います。本に挟み込まれていた読者カードに、車谷さんに対して強い思いをぶつける言葉を書いて送りました。「映像化されることがあったなら、ぜひとも私を使ってほしい」と。大胆な場面もあって周りからは反対されましたが、この作品に出なくてはいけない、と突き進みました。結果として、この作品に出演したことが、私自身の俳優としてのターニングポイントの一つになりました。

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